2025年9月18日 (木)

GRXのチェーンライン

修理作業がうまく進まない同業者のために、

そしてうっかり忘れる自分のために

ノウハウを備忘録として残します。

年老いた大出の長年培った技術を

参考にしてくれる方がいれば幸いと思います。

 

GRX600(-11)シングルギアクランクのチェーンラインは49.7㎜。

これはリアエンド幅142㎜規格で、ローギア最大42Tを限界前提に設計しています。

 

今回のバイクはリアエンド幅142㎜&ロー最大42Tなので

ギリギリ上記条件を満たしているのですが、

組付けてみたらなんかおかしい。

もともとのチェーンラインがもっと短いみたい。

 

FSAのサイトで確認すると

FSAもシングルギアクランクのチェーンラインは50㎜とあるので

シマノGRXとほぼ同じ。

 

が、取り外したFSAクランクには

チェーンラインを変更するパーツ(MW651)が

付けられていました。

肉厚は2.5㎜だから、チェーンラインは47.5㎜に修正されていたのです。

納得!!

Img_7487

 

じゃあ、そのMW651をGRXに付ければ良いのですが

形状的に入るスペースが無いので

今回は薄めバルブナット(約2.8㎜)のネジ山を飛ばして代用しました。

※バルブナットは厚みに個体差があるので作業前選定は必須です。 

Img_7488

 

スペーサーが入る分、ギアボルトも長くして

ネジ山の掛かり代を確保します。

今回はFSAが使っていたギアボルトがちょうど3㎜長かったので

これに入れ替えました。

で、こんな感じ。

 

Img_7489

解りにくいけど見えます?

チェーンリングは、ほぼ純正と同じ位置になりました。

 

2025年9月16日 (火)

固着したFSAクランクを外す

年老いた大出の長年培った技術を

参考にしてくれる方がいれば幸いと思います。

 

修理作業がうまく進まない同業者のために、

そしてうっかり忘れる自分のために

ノウハウを備忘録として残します。

 

今回は、固着したクランクの破壊取り外しです。

FSA(MegaEXO)やスクエアシャフトのBB&クランクは

時々固着して外せなくなります。

 

スティールBBシャフト(あるいはクランクシャフト)と

アルミクランクの異素材はめ合わせ部分が

水分で起こる電位差による腐食(さび)が原因だと思っています。

(スティール同士のままちゃりクランクは固着しにくい)

 

大出は組み立て時にグリスを塗り、固着を防止していますが

それでも水洗浄などで条件がそろえば電位差は起こります。

 

固着してしまったクランクを外す手順です。

 

浸透性の高い潤滑剤を浸してハンマーで軽く振動を与えてから数時間放置します。

ドライヤーでクランクシャフト(クランクボルト周辺)を熱します。

 

これで通常のクランク外し作業をして外れてくれればありがたいのですが、

固着がひどいとクランクキャップが破損したり、

クランク側の抜きネジ山が全部なめちゃったりします。

力技の前に、お客様に必ず破損の可能性を伝えておきましょう。

 

今回は、お客様から力技でも外れなかったら

破壊して新品交換すると伝えてあるので、遠慮なく破壊します。

 

効率の良い破壊方法のノウハウです。

今回はFSA「OMEGA MegaEXO19㎜」です。

 

左クランクをグラインダーで切ります。

クランクシャフトごと1本(12時位置と6時位置)のタテ切込みと

斜めにちょいずらして半分(11時位置)に切り込みを入れます。

※切削クズ飛散防止でギアガードを使うと便利。

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12時の切込みからタガネで広げて

11時~12時の小さなクランク塊を折ります。

Img_7446  

これでほぼ終了。

左クランクを内側からハンマーで叩けば取り外せます。

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BBシェルにグラインダーの跡が!

やばかった。

次からは鉄板入れよう。

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2025年9月12日 (金)

触覚付きSTI

旧型STIレバーのブラケットカバー交換です。

約20年前に作られた5600系105で、

横内側からシフトケーブルが出ている様子から付いた呼び名が「触覚付き」。

 

さすがに最近は見かけなくなりましたが

まだまだ現役で動いている機体もあります。

 

しかし、ブラケットカバーはゴム製なので

経年劣化でボロボロ状態の物が多いです。

今回の修理もそんな1台。

Img_7411

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長年使い込んで、ゴムが解けちゃってます。

 

当然ですが、生産終了してずいぶん時間が経っているので

メーカー在庫もありません。

 

こんな時は、

STA070と言う似たような形状のSTIレバー用の

ブラケットカバーで代用してます。

Img_7413

 

てっぺんの部分はハマりませんが、

メインのブラケット部分はピッタリはまってます。

 

もう諦めていたお客様からは、

とても気に入っていただけたので良かったです。

 

2025年9月 5日 (金)

ディレイラー台座の復活

先日、フロントディレイラー「台座」の交換をしました。

一般の方はこの作業についてあまり縁が無いと思いますが

作業上の注意点を備忘録しておきます。

 

時々の作業ゆえコツを忘れた時や

初めて作業する同業者への参考になればと思います。

 

今回の患者さんです。

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カーボンフレームにリベット止めしてあったアルミ製の台座が

パッキリと折れてます。

FDは折れた側に付いていたせいか、プレートが変形してました。

台座交換と共に、FDも交換です。

そうなるとチェーンも切断しないといけないので

全部の作業としては

1,ディレイラー台座交換

2,ディレイラー交換

3,チェーン再接続(ジョイント交換)

です。

時によってはワイヤー交換もあり得るかも知れません。

 

FD台座交換作業に入ります。

大出のリベット外し方は、ドリルを貫通させないです。

古いリベットの中心に2㎜ドリル歯で凹む程度削り、

その凹みをきっかけにして3.5㎜ドリル歯で

台座のおもてツラ面までゆっくりと削ります。

今回は4か所です。

 

リベット表面が削り終えたら、ドライヤーで熱します。

台座はボンドで仮止めされているはずなので、

これを溶かしてからプライヤーで引き剝がします。

 

Img_7352

やっぱりボンドの痕跡があります。

十分加熱しないで無理に引き剥がすと、フレームを破損するかもしれません。

加熱の温度は勘です。

今回は一発で剥がせました。

 

リベットを打ち込みます。

ボンドで仮止めしてからリベットを突き刺して

位置合わせをします。

この状態でガタツキはありません。

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固定作業中に台座がずれないように気を付けながら

リベッターで固定して完成。

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フロントディレイラー台座復活。

今回の修理は、1晩入院でした。

 

すべてのバイクが直せる(修理部品が入手できる)わけではありません。

純正台座を入手できない場合は諦めて下さい。

2025年8月25日 (月)

【備忘録】メリダTTバー ケーブル取付

バラバラのTTバイクを組み立てて下さい、と

持ち込まれたのはメリダ・タイムワープTT(リムブレーキモデル)。

内蔵ケーブル類はすべて仮通ししてあるから、それほど手間はかからないですよと

言われたものの

ハンドルのワイヤー取り回し作業には本当に手こずったので

備忘録として記録します。

 

持ち込まれた状態

短いブレーキアウターとDi2ケーブルが

ハンドルバーエンドから出ています。

これなら取り付け簡単そう?

 

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TTブレーキレバーはハンドル内径いっぱいに広がって固定する

内拡式なので、Di2ケーブルが挟まっちゃうから

この通し方では組み立てられません。

じゃあ、どうするかと探してみたら

ゴムグリップの下に穴が隠れていました。

マジか、、。

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固定済みのグリップを、わざわざ外して確認。

やっぱり穴あります。

Di2ケーブルはここから入れないと、ブレーキレバーの固定は出来ません。

 

先端から出ていたDi2ケーブルを折り返して

ハンドルの穴から出して、TTレバーに接続。 

Img_7335

ジャンクションが穴より大きくて通らない!

なんだ、コレ?

 

TTレバーのDi2ケーブルはステム通過しても余るほど十分な長さがあるので、

ジャンクションはステム側から付けるしかないです。

つまり、仮通ししてあったDi2ケーブルは無駄。

 

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大出オリジナル工具(?)青ホースを使って

Di2ケーブルをハンドル下穴からステムまで通します。

 

この時、忘れてはいけないのが

ハンドルのゴムグリップをDi2ケーブルに通しておく事。

後からではグリップが付けられません。

 

ちょっと悩んだけど、無事に完成しました。

とても刺激的な作業でした。