久しぶりにホィールを手組みしました。
32ホール6本組イタリアンタンジェントです。
リムは26インチHE、かつてMTBの主流だったサイズです。
もう、リムが入手困難なのですが、
たまたまアラヤ本社にあったリムを融通していただきました。
スポークは星ステンレス#14プレーンです。
これもかつての定番品。
大出が手組みするホィールには
スポークとニップルをつなぐネジ山に、ネジ緩み止め剤を塗ります。
これを塗ると、ニップルは回しにくくなるけど振れが出にくくなります。
大出は、使用するスポークの長さに特に気を使います。
手組みホィールは組み方でスポーク長が変わります。
完組みホィールと違って、これと決まった長さが無いので
スポーク長を計算して、適正な長さを選びます。
この適正な長さというのが曖昧で、組み立てる人によってまちまち。
大出の場合は、ニップルのネジ山が終わるところまでにしてます。
あまり長いとニップルから飛び出して
リムテープやチューブを傷つけてしまいます。
長すぎるよりは短めの方がマシなのですが、
短すぎるとネジ山のかかりが少ないので、高いテンションをかけられません。
大出は
振れ取り作業する前に、ニップルへオイルを差します。
これは自己流なので、他の人はほとんどしないと思います。
オイル差すのは、ニップルとリムの間。
ニップルとスポークのネジ山には緩み止めが付いているので
絶対にネジ山にかからないように、
そっとスプレーのノズルから1滴づつ垂らします。
(画像はスプレー噴霧しているわけじゃないからね~。)
スポークは緩みにくく、リムとの抵抗を最小限にして
ニップルを回す事が出来ます。
振れ取り台は、古い宝山の鋳造工具を使用。
ニップル回しは、これも宝山の丸形。
センターゲージはミノウラで、
テンションメーターはパークツールを使います。
まずはスポークのネジ山が隠れるところまでニップルを一気に締めて
縦ぶれを見ながらスポークの目標テンション手前まで、
ニップルを締め上げていきます。
今回は2.0㎜プレーンなので、フロントなら100㎏fくらい。
完成予定よりやや低めのテンションまで上がったら、次は横ぶれ。
センターゲージでおおよそのセンターを合わせながら
最後のスポークテンションを上げつつ
左右の振れを修正して行きます。
大出のホィール組ではスポークのネジ山には緩み止めが塗ってあるので、
逆方向(緩める方向)へ回すと緩み止めの効果が薄れてしまいます。
基本は締めこんで修正終了してます。
適正テンションに達し、左右振れ取りも終わったホィールを
遠慮なく踏みつけます。
これが、馴染みだしです。
踏み続けながら、ぐるっとリムを一周します。
この馴染みだし作業中は
スポークのネジ戻る「パン、パン」「パキン、パキン」とか言う音がするのですが、
リムとニップルの間にオイルを差す大出式のホィール組では
音が出ません。
踏んづけて馴染みを出さなくても、組みながらリムとニップルが馴染んでいるので
スポークの「より戻り」が起こらないのです。
ちょっとした工夫ですが、長年の経験からの蓄積です。
納品書とか請求書とか、支払いとか借入とか
会計関係の仕事より、この作業の方がずっと好きなのですが
仕方がありません。
久しぶりに良い経験が出来たので、楽しかったです。